豊臣秀吉の菩提を弔うために、北政所ねねが祈願し建てられた「高台寺(こうだいじ)」。小堀遠州が作庭した庭園をはじめ、春と秋には夜のライトアップも開催される京都の人気観光スポットです。
今回は久しぶりに、秋の高台寺を訪れることに!個性的な枯山水庭園からアンドロイド観音まで、想像以上に面白い出会いを楽しむことができました。今日は、そんな高台寺の見どころをたっぷりとお届けしていきます。
- 豊臣秀吉ゆかりの寺「高台寺」の歴史
- 観月台に臥龍廊!小堀遠州作の優美な庭園
- 龍が白砂を泳ぐ枯山水庭園「波心庭」
- 高台寺蒔絵は必見!ねねが眠る「霊屋」
- 伏見城から移築された貴重な「茶室」
- 可愛い恋愛成就絵馬&個性的なお守り
- 衝撃!説法するアンドロイド観音
豊臣秀吉ゆかりの寺「高台寺」の歴史
高台寺は、八坂神社から清水寺へ向かう道中にある、豊臣秀吉ゆかりのお寺。アクセスは、市バス「東山安井」が最寄り(バス停から徒歩7分)ではありますが、京阪「祇園四条」駅から祇園の町並みを楽しみながら歩くのもオススメです。
「ねねの道」を歩いていると、素敵な竹林の細道が・・!そう、ここが高台寺の入口。浴衣姿も絵になる、風情たっぷりな雰囲気に包まれています。
高台寺は、1606年に豊臣秀吉の正室ねねが、秀吉の菩提を弔うために祈願し、徳川家康が各国大名に命じて創建されたお寺です。開山時は曹洞宗の寺院でしたが、現在は臨済宗建仁寺派に改宗しています。
創建当初は、伏見城から狩野永徳などが描いた襖絵のある方丈を移築するなど、とても豪華な建物であったそう。しかし江戸時代以降、度重なる火災によって多くの建物が焼失。また明治時代の廃仏毀釈により、境内地も縮小されました。
それでも、開山堂や霊屋、時雨亭など創建時から現存する建物も残る高台寺。早速、そんな貴重な建物を見学させていただくため、境内にお邪魔しました!
観月台に臥龍廊!小堀遠州作の優美な庭園
高台寺の拝観料は、600円。塔頭である圓徳院との共通券は900円だったので、今回はお得な共通券をゲット!
チケットを買って中に入ると、素敵な見晴らしの展望スペースが。鉾のような緑の祇園閣が、すっと青空に伸びています。
入口まで階段を登ってきたけど、こんなに高台まで来たんだなぁ。
さらに歩みを進めると、小堀遠州が作庭したという池泉回遊式庭園が目の前に!
美しい山々に空、波のようにうねる緑の芝が一体となった奥行きを感じさせる庭園。開山堂に続く雅やかな回廊も、京情緒たっぷり。なんて美しく、広々としたお庭なんでしょう!
庭園には開山堂を挟んで2つの池があり、周辺を歩いて散策することができます。
伏見城の遺構である観月台を配した「鶴亀の庭」。ねねは、この観月台から亡き秀吉を想って月を眺めたそう。
きっと綺麗な月が昇ったんだろうなぁ。一度で良いから、こんな場所から月を眺めてみたい(笑)
鶴亀を表現したという石組も、庭園を引き立たせていますね。京都の自然を庭に取り込んだ、まさに借景式庭園。祇園の賑わいはどこへやら、静かな時間が流れます。
京都のお寺と言えば、苔庭のイメージを持っていた私。一面芝生の高台寺の庭園は、とても新鮮に映りました。
こちらは、開山堂と霊屋を結ぶ臥龍廊。じっと眺めていると、たしかに天井が龍の鱗に見えてくるような?
立入禁止だったため、写真を撮って楽しませていただきました。
ちなみに臥龍廊と言えば、永観堂の曲がりくねった臥龍廊も有名ですよね。迫力あるこちらも必見ですよ♪
続いては、枯山水庭園に足を運びましょう!
龍が白砂を泳ぐ枯山水庭園「波心庭」
高台寺の枯山水庭園「波心庭」は、靴を脱いで方丈から見学をします。春と秋には、個性的な演出で私たちを楽しませてくれる波心庭。
今年はどんなお庭に仕上がったかと言うと・・
雲海に見立てた白砂の中を龍が躍動する、力強さのある庭園に変身していました!いつもは心静かに眺める枯山水庭園ですが、こちらは見ているだけで何だかワクワクしちゃいますねぇ。
右手には、春になると桃色の花が美しいしだれ桜の姿も。
2020年の庭園のテーマは、「飛龍」。「龍はどんな困難にも負けず、自分の力を発揮する」ことから、私達にも困難な世の中に打ち勝って欲しいという願いが込められているそう。
鋭い牙に角、爪、そしてゴツゴツとした黒と金の鱗が格好良いですよね。枯山水を泳ぐ龍、モダンでユニークな発想が若い人にも受けそう!
ちなみに龍の鱗には、高台寺の古い瓦や木材が使われているんですって。モノを無駄にしない「禅」の考えが、素晴らしいですよね。
お庭の反対側の様子。山の方をよ~く見ると、白い観音様が見えませんか?
こちらは霊山観音の観音様。突然現れたお姿に、そしてあまりの大きさにビックリしてしまいました!
秋と春には、夜の特別拝観が行われる高台寺。波心庭では、プロジェクションマッピングを使用したライトアップが行われ、幻想的な世界を楽しむことができます。明るいお昼間も素敵ですが、夜はまたロマンティックな魅力に出会えるかもしれませんね♪
高台寺蒔絵は必見!ねねが眠る「霊屋」
庭園を楽しんだ後は、ねねが眠るという霊屋(おたまや)に向かいます。
霊屋には、左厨子に北政所、右厨子に秀吉の木造が安置されていました。ねねさんは、今もこの像の下で眠っておられるそう。おぉ、歴史上の人物が急に身近に感じられますね。
秀吉さんは、豊国廟(ほうこくびょう)で眠っているとのこと。お二人の像を見て、改めてこんなにも美しい高台寺を造ったねねさんの秀吉への愛情を感じました!
さらに、霊屋の須弥壇や厨子には、桃山時代の優美な蒔絵(まきえ)が施されていました。写真撮影禁止だったので、パンフレットのお写真を。
蒔絵とは、漆で絵や文様を描き、金粉や銀粉をまき付けて定着させる技法のこと。高台寺蒔絵とも呼ばれる繊細な蒔絵は、秀吉とねねさんの周りを華やかに彩っていましたよ。
伏見城から移築された貴重な「茶室」
霊屋を出た後は、ねねさんがお茶を嗜んだといわれる茶室を目指します。
こんな階段をヨイショヨイショと上っていきます。
京都は「鰻の寝床」と言われるほど、お店等は狭かったりするのですが、お寺はこんなに広いんだから驚きです。これでも創建当初より、敷地は縮小されているんですって。
さぁ、お茶室「傘亭(かさてい)」に到着です!創建当時から残るこちらの茶室は、伏見城から移築されたもの。
茅葺きの三角屋根に、木造の格子戸。何とも京風情があって素敵ですね。国の重要文化財でもある傘亭。雨風が強い時とか大丈夫なのかな?と少し心配になってみたり。
中を覗くと、日光が障子から降り注ぎ、心落ち着く空間が広がっていました。
利休好みだったと伝わる高台寺のお茶室。ねねさんも、秀吉のようにここでお茶を楽しんでいたんですね。う~ん、贅沢!
傘亭のすぐ横には、「時雨亭(しぐれてい)」も。こちらも、伏見城から移築されたものだそう。
一度も火災に見舞われることなく、今もこうやって見られるなんて凄いことですよね。深い感慨にふけりながら、見学を楽しみました。
高台寺には、他にも「鬼瓦席」と「遺芳庵」と呼ばれる2つの茶室があります。茶を嗜んだ時代に思いを馳せながら、お茶室巡りをするのも面白いですね。
可愛い恋愛成就絵馬&個性的なお守り
お参りの後は、こんな美しい竹林を通って帰ります。空高く伸びる竹が、爽やかで気持ちが良いですね~!
参拝客のほぼ全員が、ここで写真を撮っていました(笑)そりゃあ、撮りたくなっちゃいますよね。
高台寺の外に出ると、可愛らしい秀吉さんとねねさん像が・・!
まるっとしたフォルムが愛らしい、ゆるキャラのようなお2人。見ているだけで、何だかニンマリしちゃいます。
2人の後ろには、ハート型絵馬がずらり!その仲の良さから、恋愛成就のご利益があるとされているんですね。
ピンクでしかもハート型、こんなに可愛い絵馬があったら掛けたくなっちゃうかも♪
高台寺には、合格、健康、財運等のご利益を授かれるお守りもありました。
ちょっと面白いのが「言の葉御守り」。自分の願いを書いて、お守り袋に入れるお守りなんですって!自分が言ったことを現実に引き寄せる、まさに言霊ですね。
お守りは、自分用にもお土産にもオススメ。ご利益に合わせて、気になる一体を見つけてみてくださいね。
衝撃!説法するアンドロイド観音
旅の最後には、最近作られたという「アンドロイド観音」を覗いてみることに。
え、アンドロイド観音?何それ?と思われる方も多いはず。これはもう説明するより、ご覧いただいた方が早いでしょう。アンドロイド観音がいる教化ホールへ向かいます。(教化ホールは、高台寺出口を出て駐車場を越えた先にありますよ。)
さぁ、こちらがアンドロイド観音のお姿です!うわぁ、頭が半分ないぞ・・結構、機械感を残した仕上がりになっています。
何だか見慣れない観音様のお姿ですが、観音様の前には椅子が置かれ、指定時間になると説法を聞けるようになっていました。後ろのスクリーンには要所要所で文字も映し出され、皆さん珍しそうに観音様の言葉を聞かれていましたよ~。
それにしても、何とも近代的!お坊さんの温もりある説法に慣れ親しんできましたが、これからはアンドロイドの時代になるのでしょうか。庭園にしても革新的なイメージのある高台寺、これからも目が離せませんね。
今回は、秀吉ゆかりの高台寺を歩いてきましたが、いかがでしたでしょうか?教科書や大河ドラマでしか知らなかった、秀吉とねねさん。そんなお2人を何だか身近に感じることができました!
四季折々の表情を楽しめる高台寺。皆さんも、是非一度訪れてみてくださいね。
(ご参考)高台寺から徒歩7分。八坂神社にも参拝してみませんか?
住所:京都市東山区高台寺下河原町526番地
アクセス:市バス「東山安井」から徒歩7分
駐車場:有料駐車場あり(拝観時は1時間無料)
拝観料:600円
拝観時間:9:00-17:30 (17:00受付終了) *夜間特別拝観期間中は17:00点灯-22:00 (21:30受付終了)