先週末、「相国寺(しょうこくじ)」の秋の特別拝観に行ってきました。きっかけは庭園美を楽しめるのはもちろん、実は紅葉の穴場だと知ったから。
実際に訪れてみると、紅葉で彩られた優美な庭園に個性的な象の杉戸、さらには幡龍図まで見どころ満載!また承天閣美術館に行って、伊藤若冲の水墨画や貴重な茶器も堪能してきました。
今日は、相国寺の楽しみ方をお届けします!
相国寺の歴史
相国寺は今出川駅から歩いて8分。同志社大学のすぐ横にある臨済宗相国寺派大本山です。
境内はとても広く、門をくぐると庫裏まで参道が真っ直ぐ続いていました。
ご参考までに境内図がこちら。
法堂や開山塔を中心に、12の塔頭寺院が周辺を取り囲んでいます。
松の並木道を楽しみながら、法堂方面に向かいます。拝観チケット売り場を探したところ、法堂と方丈の間の廊下で買うことができました。
ここで相国寺の歴史を簡単に。相国寺は足利義満が1392年に創建し、夢窓国師を開山とした一大禅苑。応仁の乱など度重なる災禍に見舞われながらも、禅宗行政の中心地として室町時代の禅文化の興隆に貢献しました。
現在は金閣寺・銀閣寺・眞如寺をはじめ、90余りの末寺を有する臨済宗相国寺派の大本山です。
さぁそれでは早速、鳴き龍のいる法堂に入りましょう!
手を叩こう!法堂の鳴き龍『幡龍図』
相国寺の法堂は豊臣秀頼によって桃山時代に再建され、現存する法堂の中では日本最古のものなのだそう。
法堂のお目当てと言えば、狩野光信によって描かれた「幡龍図(ばんりゅうず)」ですよね!写真撮影禁止だったので、パンフレットの写真を拝借。
木造の天井に巨大な龍がうねりながら躍動しています!龍の鱗も生々しく表現され、実際に見ると今にも飛び出してきそうな迫力。
また相国寺の龍は「鳴き龍」とも呼ばれ、幡龍図の下でパンッと大きく手を叩くと「パァァァァンッ」とお堂内に音が響き渡ります!
ビィィィンッと反響するのが面白くて、つい手の皮の厚い主人に何度も手を叩かせてしまいました(笑)鳴き龍の真下に手を叩くスペースがあるので、皆さんも叩いてみてくださいね。
ちなみに龍の真下で叩かないと反響音があまりわからないので、ここで叩くのがポイントです!
眩い紅葉が楽しめる裏方丈庭園
鳴き龍を満喫した後は、方丈に向かいます。
方丈の表には白砂が美しい枯山水庭園が広がっていました。
この白砂が太陽光を反射し、室内や正面の法堂を明るく照らしているんですね。
窓から枯山水を眺めるお洒落なアングル!
銀閣寺にもこんな窓があったような?とても絵になりますねぇ。
さらに良かったのが、方丈裏にある裏方丈庭園。紅葉がめちゃくちゃ綺麗!
手前を掘って谷川に見立て、対岸を山とした深山幽谷の雰囲気を感じさせるお庭。奥行きと立体感を感じさせる庭園の美しさに思わず感動!
赤と黄色、緑のグラデーションが美しすぎる紅葉。色合いも濃くて、すっごく綺麗!なんなのでしょう、この絶景は。
あまりに美しかったので、紅葉正面の縁側に座ってしばし紅葉鑑賞。人も少ないので、のんびり紅葉を楽しめるのも嬉しいなぁ。
こんなに美しい紅葉が見られるなんて、本当に来てよかった~。
個性的で面白いゾウ♪真っ白な白象図
ここでちょっと、方丈庭園で見つけた面白い杉戸をご紹介!
それが表方丈庭園にある「白象図」。
ふくよかで真っ白な象が一際目を惹きます。何だか幸せそうな表情も素敵!
白象図の作者は、江戸時代の絵師・原在中(はらざいちゅう)。江戸時代作とのことで、想像で書いたのか、はたまた実物を知っていたのか気になるところ。
どっしりとした足に爪、そして少し小さな耳と見れば見るほど味わい深いです。
こんな杉戸もありました。オレンジのモミジが鮮やかで美しいですよね。
相国寺は庭園はもちろん、さまざまな芸術も楽しめるので見ていてワクワクしちゃいます!
白砂の枯山水庭園『開山堂庭園』
方丈を巡った後は靴を履き替えて、開山堂を目指します。
ここでも美しい枯山水庭園に出会うことができました。白砂に石が配置され、奥はなだらかな苔山になっています。
夕方で少し陰になってしまっていますが、紅葉も美しく、白砂に舞い落ちる散りモミジも風流で良かったです。
ブラタモリでも紹介されていましたが、その昔、こちらに水路「龍淵水(りゅうえんすい)」が流れ、賀茂川の水を御用水として皇居に流していたそう。
相国寺は皇居のすぐ北に位置するので、それも納得ですね。
いやぁ、法堂から庭園まで相国寺は見ごたえ抜群!半日ぐらいゆっくり時間を過ごせそうです。
若冲&茶の湯を学ぶ『承天閣美術館』
相国寺観光の最後に、茶の湯の企画展を開催中の「承天閣美術館(じょうてんかくびじゅつかん)」へ足を運ぶことにしました。
承天閣美術館に続く美しいモミジ参道。
どこまでも絵になる境内です。
瓦屋根の立派な美術館。相国寺の拝観料とは別に800円必要になります。
美術館では、天目茶碗など当時の貴重な茶道具を沢山見ることができました!中には国宝もあり、目を栄養補給ができた気分(笑)茶の湯の道具を通じて、茶の湯文化を学んだ文化的な時間でした。
美術館には伊藤若冲の水墨画もあり、初めて若冲の本物の絵を見られたのもすごく良かった!特に「葡萄小禽図(ぶどうしょうきんず)」は、ブドウがたわわに実る様子が繊細に描かれていて、感動しました。
伊藤若冲は、錦市場の出身。帰りに錦市場を通りがかると、シャッターに描かれた葡萄小禽図を発見!
なんたる偶然なんでしょう。シャッターではありますが、雰囲気が伝われば嬉しいです(笑)
今回巡ってきた相国寺は、見所満載の素晴らしいお寺でした。所要時間は、法堂と庭園散策をゆったり楽しんで1時間半程。美術館まで見ると、2時間以上楽しめました!
春と秋に特別拝観ができるので、是非この機会に足を運んでみてくださいね。
(ご参考)
・伊藤若冲の御朱印やお守り情報はこちら!
・相国寺塔頭「銀閣寺」もお見逃しなく!
住所:京都市上京区今出川通鳥丸東入相国寺門前町701
アクセス:地下鉄「今出川駅」から徒歩8分
駐車場:なし
拝観料:800円
拝観時間:春秋の特別公開期間のみ10:00~16:30(受付終了16:00)