嵯峨天皇の離宮として建てられた「大覚寺(だいかくじ)」。広大な敷地に優美に佇む姿は、寺院となった現在も、訪れる私達を魅了し続けています。
今回私は、秋の紅葉シーズンに大覚寺を訪れることに。嵯峨天皇が愛した嵯峨菊で彩られた境内は、気品に溢れ、まさに花の寺といった雰囲気!自然豊かな大沢池の散策も楽しみながら、のんびりと紅葉を満喫してきました。
今日はそんな大覚寺の見どころから歴史、大沢池の歩き方まで、その楽しみ方をご紹介!ぜひ、旅の参考にされてみてくださいね。
- 嵯峨御所「大覚寺」の歴史
- 境内図&拝観料について
- 宸殿から眺める嵯峨菊と右近の橘
- 情緒溢れる鴬張りの回廊「村雨の廊下」
- 装飾美しい勅使門に庭園巡り
- 心経宝塔に五社明神!紅葉美しい大沢池を散策
- 大覚寺で心穏やかなひと時を♪
嵯峨御所「大覚寺」の歴史
大覚寺へのアクセスは、嵐電「嵐山駅」から徒歩約20分。私はこの日、天龍寺から常寂光寺を観光した後、歩いて大覚寺を目指しました。
道中に名所が点在していることもあり、あっという間に大覚寺に到着です!
大覚寺は、弘法大師空海を宗祖と仰ぐ真言宗大覚寺派の本山。平安時代初期、嵯峨天皇が檀林皇后との成婚の新室である離宮嵯峨院を建立したのが始まりで、「嵯峨御所」とも呼ばれています。
空海に深く帰依された嵯峨天皇は、818年の大飢饉の際、空海の勧めにより般若心経を浄書され、五大明王に祈願。この般若心経は、60年に一度しか開封しない勅封心経として、今も大覚寺心経殿に奉安されています。
そして嵯峨院が大覚寺となったのは、嵯峨上皇の長女である正子内親王が恒寂入道親王を開山として開創した貞観18年(876年)のこと。
その後、1307年には後宇多天皇が出家し法皇となり、大覚寺に住して第23代門跡に。後宇多法皇は大覚寺の伽藍の造営など再興に尽力し、大覚寺で院政を行います。
しかし、大覚寺は1336年の火事、さらには1468年の応仁の乱によって堂舎のほとんどが焼失。そんな逆境に耐えながらも、江戸時代初期に見事再建を遂げ、現在に至っています。
境内図&拝観料について
さぁ拝観チケットを購入し、堂内に入りましょう。
お堂エリアの拝観料は、500円。祇王寺との共通券が600円とお得に販売されていたので、私は共通券を購入することに。
*令和2年3月から大沢池エリアに入るには、別途300円必要となりました。
大覚寺の境内図もゲット!
お堂エリアは複数の建物が廊下でつながっており、靴を脱いでお堂巡りを楽しんでいきます。
入り口のすぐ横には、後宇多法皇が実際に使用した御輿の展示も。
当時は本当にこんな御輿で移動されていたんだなぁ。映像の世界でしか知らなかっただけに、実物を見てちょっと感動。
さぁ、それでは早速お堂巡りに出発です!
宸殿から眺める嵯峨菊と右近の橘
まず足を踏み入れたのは、江戸時代に後水尾天皇より下賜された「宸殿(しんでん)」。
実は、いけばな発祥の花の寺であり、「いけばな嵯峨御流」の家元でもある大覚寺。
五大堂(本堂)を背景に、宸殿前はオレンジや黄色の美しい嵯峨菊で彩られていました!糸状の花びらに、空高く伸びる姿が何とも個性的。
嵯峨菊は、嵯峨天皇の時代に大沢池に自生していた嵯峨野の野菊のこと。嵯峨天皇がその気品ある姿と香りを好まれ、大覚寺独自の嵯峨菊に育成したそう。
嵯峨菊の特徴は、花を下部に7輪、中程に5輪、先端に3輪咲かせること。葉の色も、下部が黄色、中程が緑、先端は淡緑になっています。
背の高さも、殿上から鑑賞できるように2mもあるんですよ~!
それにしても、ピュピュッと糸のように伸びる花びらが何ともユニーク。
こんなお花、初めて見たなぁ。思わず覗き込んで、じっくり観賞しちゃいました。
嵯峨菊は、秋の「嵯峨菊展」限定の特別展示。お堂のあらゆる場所を彩っていたので、嵯峨菊を見たい方は、秋に訪れるのがおすすめですよ♪
宸殿前には、右近の橘も!ミカンのような黄色い実をたわわに実らせていました。
右近の橘と聞くと、京都御所の「右近の橘・左近の桜」がふと頭をよぎります。実は嵯峨御所とも呼ばれる大覚寺に植えられているのは、「右近の橘・左近の梅」。
歴史を遡ると、その昔は桜ではなく梅が主流だったそう。京都御所も初期の頃には、梅が植えられていたようです。そんな歴史に思いを馳せながら、歩いてみるのも楽しいですね。
情緒溢れる鴬張りの回廊「村雨の廊下」
宸殿を後にし、広いお堂の中を歩いていきます。
手入れの行き届いた苔庭が見事ですね~。
大覚寺の見どころの1つと言えば、その美しい回廊!少し歩くと、諸堂を結ぶ「村雨の廊下(むらさめのろうか)」が現れました。
真っ直ぐ左右対称に続く、美しい木造回廊。京情緒たっぷりで、CMにでも出てきそうな絵になる佇まいに、しばし見惚れてしまいます。
廊下の縦の柱を雨、直角に折れ曲がる回廊を稲光にたとえて、「村雨の回廊」と呼ぶそう。あっ、ここにもさりげなく飾られた嵯峨菊が・・!
天井は刀や槍を振り上げられないように低く造られ、床は鴬張りになっているんですよ~。写真撮影はもちろん、鴬張りならではの音も楽しみながら歩いてみてくださいね。
装飾美しい勅使門に庭園巡り
村雨の廊下を渡った先にある御影堂から見えるのは、「勅使門(ちょくしもん)」。
菊紋が目を惹くこちらは、江戸時代に再建されたもの。
金色の飾り装飾が華やかで、とっても綺麗!
さらに、本堂舞台からの眺めも満喫。大沢池を背景に、もみじの紅葉と嵯峨菊が見事にコラボレーション!
「これぞ大覚寺!」といった清々しい景色が広がります。
庭園には椿の花も。苔に舞い落ちた花びらも、これまた美しきかな。
こちらは、「勅封心経殿(ちょくふうしんぎょうでん)」。冒頭の歴史でご紹介した、60年に一度しか開封されない勅封心経が奉安されています。
建物まで造って、こんなに厳重に保管されていることに驚きました。
堂内には、小さな池も。柱を額に見立て、額縁庭園のように1枚パチリ♪我ながら、なかなかいい感じ(笑)
お堂エリアを十分に堪能し、続いては大沢池の散策へ向かうことに。
堂内はゆったり見て回って、所要時間は30分程。嵯峨菊から優美な建築、庭園まで、古の嵯峨御所に思いを馳せながら、お堂歩きを楽しむことができました!
心経宝塔に五社明神!紅葉美しい大沢池を散策
さぁ靴を履いて、大沢池(おおさわのいけ)の散策に出発です!大沢池エリアには専用の入口があり、そこで係員さんにチケット(別途300円)を見せて入場します。
うわ~なんて大きな池なんでしょう!これは散策のしがいがありそう。秋色の染まる山々に、池面に映りこむ景色も美しい。
平安時代に貴族が船遊びを楽しんだという大沢池は、周囲約1㎞の日本最古の人口の林泉。嵯峨天皇が唐の洞庭湖を模して作ったことから、庭湖とも呼ばれています。
池の畔に鎮座する「五社明神(ごしゃみょうじん)」。鳥居が紅葉で赤く彩られ、何ともフォトジェニック!
奥に見えるのが本堂で、ちょっとした撮影スポットになんですよ~。
こんな感じで紅葉を眺めながら、のんびりお散歩。自然の香りに癒されながら、気づけば心も穏やかに。
大沢池は広大な敷地なのも手伝って、紅葉シーズンにもかかわらず人もまばら。混雑する京都において、静かに紅葉を楽しめる隠れた穴場です。
赤く染まるモミジに、朱塗りが美しい「心経宝塔(しんぎょうほうとう)」。内部には弘法大師像が祀られています。
お堂巡りでも思ったのですが、大覚寺には松の木が沢山植えられいるんですね。
池に浮かぶ島は、天神島に菊ヶ島。さらに奥にあるのが、庭湖石。この二島一石の配置が、華道嵯峨御流の基本型に通じているのだとか。
鴨の鳴く声が聞こえたり、のどかな空気が一帯を包んでいます。
あ、赤とんぼを発見!秋だな~。
池から眺めた本堂。結構歩いたな~日頃の運動不足が解消できそう(笑)
紅葉越しの心経宝塔も。
「そうだ京都、行こう」のポスター構図を真似て、あらゆる場所から撮ってみたけど、なんか違う?JRのはきっと、特別な人しか入れない場所から撮影しているに違いないという結論に(笑)
そんな写真撮影にも夢中になりながら、大沢池の散策を楽しんだ私。時計を見ると、大沢池に来てから45分も経過!
大沢池の敷地はとっても広いので、みなさんも散策の際には、時間に十分余裕を持って訪れてくださいね。
大覚寺で心穏やかなひと時を♪
今回は秋の大覚寺を歩いてきましたが、いかがでしたでしょうか?
天皇の離宮でもあった大覚寺(嵯峨御所)は、他にはない優美さと格調高さを感じさせる素晴らしいお寺でした。
人もそれほど多くないので、ゆったり観光できるのも魅力。ぜひ大沢池の散策も楽しみながら、心穏やかに過ごしてみてくださいね♪
(ご参考)大覚寺のお守り&御朱印情報はこちら!
住所:京都市右京区嵯峨大沢町4
アクセス:嵐電「嵐山駅」から徒歩20分
駐車場:30台あり(2時間500円)
拝観料:お堂エリア500円、大沢池エリア300円
拝観時間:9:00〜17:00(受付終了16:30)
写経体験:あり