「京都の禅寺で美しい石庭を眺めながら、静かに過ごしたい。」
今回、そんな思いから世界遺産である「龍安寺(りょうあんじ)」を訪れることに。一番の見所である石庭から、「吾唯知足」で有名な蹲踞(つくばい)まで、たっぷりと堪能してきました!
今日は、龍安寺のお参り前に知っておきたい楽しみ方をレポートします。
- 世界遺産「龍安寺」の歴史
- 見る者に解釈を委ねる謎多き「石庭」
- 1つだけ石が見えない?石庭が伝える真意
- これぞ仏教の真髄!吾唯知足の「つくばい」
- 千利休に秀吉が愛した「侘助椿」
- 春は桜、秋は紅葉が楽しめる「鏡容池」
- 吾唯知足のスタンプが嬉しい御朱印
世界遺産「龍安寺」の歴史
龍安寺は、室町時代の有力者である細川勝元が1450年に創建した禅寺。徳大寺家の別荘を譲り受け、妙心寺の義天和尚を開山としました。
応仁の乱など二度の火災で焼失した後、見事に再興。1975年には、エリザベス2世が龍安寺を訪れ石庭を称賛したことから、世界的にも有名となったお寺です。1994年には京都の文化財として、世界遺産に登録されています。
見る者に解釈を委ねる謎多き「石庭」
龍安寺と言えば、日本を代表する枯山水庭園「石庭(方丈庭園)」が有名ですよね。
美しい白砂に、意味ありげに配置された大小15個の石。眺めていると、いつしか心の雑念も消えていくかのよう。
室町末期、特芳禅傑などの優れた禅僧によって作庭されたという石庭。「白砂の模様は海の波を表現しているのかな?」「石はそこに浮かぶ島なのかも!」なんて、色んな想像をしてみたり。
ゴツゴツとした一番大きな石。まるで切り立った山のよう。
東から5・2・3・2・3と並べられた石。段々とその解釈が気になってきますが、龍安寺の石庭の意味は謎に包まれており、見る私たちの自由な解釈に委ねられているそう。
なかには「虎の子渡しの庭」と呼び、中国の古書「癸辛雜識」にある「虎が川を渡る姿」を石で表現したとする説も。ただし、これも推測の域を出ず。
答えのない庭園。難しいことは置いておいて、のんびりお庭を眺めるのも良し!
幅25m・奥行き10mと横長の石庭。パノラマで撮影してみました。
縁側に座って、皆さんお庭を鑑賞中。春には桜が石庭を彩り、とても綺麗なんですよ~。
【追記】2023年、春の龍安寺に行ってきました!石庭を桜がピンク色に彩り、最高に綺麗でした。
その時の様子はこちらで紹介中!ご覧いただけたら嬉しいです。
1つだけ石が見えない?石庭が伝える真意
龍安寺の石庭には、謎が多いと言われる理由。実は石庭の解釈が不明な事に加え、どこから見ても「石が1つ見えない」の仕組みになっているのもその由縁。
全部で15個の石が並ぶ石庭ですが、どの角度から見ても石が14個しか見えないんです。え、どうやったらそんな配置で石を置けるんだろう・・不思議!
石が1つ見えないようにしている理由。それは、東洋では「15は完全を表す数字」で、不完全な存在の人間には、あえて14個しか見えないようにしているそう。見えない1つは、「心眼(心の目)」で見なさいということなんですね。
「自分をしっかりと見つめ、足りないものと向き合いながら、今ある自分に感謝しましょう。」という禅の教えを体現した龍安寺の石庭。何だかお庭を眺めながら、哲学しているみたい!
でも実は、方丈の室内からは15個すべての石を見ることができるらしい。
確かめたい気もするけれど、中には入るのはNG!だから、自分の目で見ることは叶いません。でもそれで良いのです。全部見えないからこそ、面白いんだもの。
これぞ仏教の真髄!吾唯知足の「つくばい」
京都の庭園を散策していると、茶室前に置かれた手や口を清める「蹲踞(つくばい)」をよく目にしますよね。
龍安寺には、水戸黄門が寄進したという一風変わった蹲踞があるのをご存知ですか?
それがこちら!中央の穴を漢字の「口」に見立て、四方の文字「五」「隹」「矢」「疋」と合わせ「吾唯知足(ワレタダタルコトヲシル)」と読める仕掛けになっています。
吾唯知足とは、釈迦の説く「知足(ちそく)のものは貧しといえども富めり、不知足のものは富めりといえども貧し」という「知足」の心を表したもの。
つまり、「手に入れられないものに対して不満を抱くのではなく、今ある現状に感謝し満足できる人は、常に満ち足りていて心が平穏である」という意味。
人間は生活していると、「あれが足りないこれが欲しい」と欲が出てきてしまうもの。そんな時、このお釈迦様の言葉「自分は今でも十分幸せじゃないの!」と思えたら、心が少し穏やかになれるのかな。
仏教のありがたい教えが込もった龍安寺の「つくばい」。自分を顧みると、定期的にこの蹲踞を思い出した方が良さそう(笑)
ちなみにこの蹲踞は、本物を精巧に真似たレプリカだそう。本物は茶室前庭にあり、通常非公開なんですって。レプリカでも歴史を十分に感じさせる佇まいだったので、驚き!皆さんも、この珍しい蹲踞を是非ご覧になって下さいね。
千利休に秀吉が愛した「侘助椿」
蹲踞のすぐ横には、日本最古という椿が植えられていました。
侘助という人が朝鮮から持ち帰ったことから、「侘助椿(わびすけつばき)」と呼ばれているそう。
秀吉や千利休もお気に入りだったという侘助椿。2月でお花は見れませんでしたが、樹齢を感じさせない青々とした元気な木でした。
侘助椿は3月上旬から4月上旬にかけて楽しめるので、タイミングの合う方は是非探してみて下さいね!
【追記】2023年4月、侘助椿が咲いていました!ようやく会えた~。真っ赤なお花が苔庭に映えますね。
春は桜、秋は紅葉が楽しめる「鏡容池」
龍安寺では、衣笠山を借景とした池泉回遊式庭園を楽しむこともできます。
まるで鏡のように木々を映し出す「鏡容池(きょうようち)」。春には桜、秋には紅葉が池に映し出され、とても綺麗なんですよ~。
夏には、ピンクや黄色の睡蓮が水面を華やかに彩るそう!
平安時代には、お公卿さんが船を浮かべて遊んだという鏡容池。当時は鏡容池の方が石庭よりも有名で、おしどりの名所だったそう。
石庭のイメージが強い龍安寺。こんな自然豊かな庭園があるなんて驚き!四季折々の表情を楽しみに訪れてたいですね。
吾唯知足のスタンプが嬉しい御朱印
龍安寺を満喫した後は、お参りの証に御朱印をいただきました!
太く逞しい筆使いで「石庭」と書かれています。格好良い~。
左上には「吾唯知足」のスタンプも!これは嬉しいです。
今回、10年ぶりに訪れた龍安寺。年を重ねると、龍安寺の奥深さに改めて気付かされますね。何だろう、少し疲れた時に心を癒してくれる場所とでも言うのでしょうか。
皆さんも是非、龍安寺の石庭を眺めながら、のんびりとした時間を過ごしてみてくださいね。
住所:京都市右京区龍安寺御陵下町13
アクセス:京福電車「竜安寺」から徒歩約7分/市バス・JRバス「竜安寺」から徒歩約1分
拝観時間:3/1-11/30 8:00- 17:00、12/1-2月末日 8:30- 16:30
拝観料:大人・高校生500円、小・中学生300円
駐車場:あり(参拝者は1時間無料)