大覚寺を散策し、紅葉真っ盛りの祇王寺に向かう途中のこと。ふと脇に目をやると、細長い小路が目に止まりました。
そう、その小路を恐る恐る進んだ先で出会ったお寺が、今回ご紹介する「厭離庵(えいりあん)」です。
隠れ家的な雰囲気溢れる厭離庵。実は、あの藤原定家ゆかりの山荘だったとか。今日は、そんな「厭離庵」の秋の魅力をお届けしていきます♪
嵐山に佇む藤原定家の山荘『厭離庵』
厭離庵は、ぼんやり歩いていると見落としてしまいそうな場所にあります。今回私が発見できたのも、偶然のこと!
まるで、秘境に続くかのような竹林の細道。「え、こんな所にお寺があるの?」と思っちゃいますが、この先に厭離庵はありました・・!
厭離庵は、秋にだけ一般公開される秘密のお寺。かつて歌人・藤原定家が住んでいた山荘です。通常は非公開となっており、拝観するには予約が必要となります。
そんなこともあり、普通のお寺と違って受付もなく、簡易的に設置された机の受付係の方からチケットを購入します。
さぁ、早速境内に入りましょう。
紅葉に染まる小さな癒しの庭園
門をくぐると、キラキラ輝く紅葉が茅葺屋根に降り注いでいました!
日本風情があって、こういう景色って大好き!心が和みます。
左手の石階段を上ると・・
まさに紅葉真っ盛り!オレンジのグラデーションが美しいなぁ。
門の屋根に落ちたの散りモミジも絵になります。
いよいよ、厭離庵の庭園に入りましょう!
苔むした庭園に降り注ぐ彩り豊かな紅葉。こじんまりとした小さなお庭ですが、それが逆にほっとする居心地良さがあります。
厭離庵は、藤原定家が住んでいた山荘跡。この場所で、小倉百人一首の編さんを行ったのだそう。
後に荒廃しますが、冷泉家が修復。霊元法皇から「厭離庵」の寺号を賜り、1772年から臨済宗天龍寺派となります。その後再び衰え、明治43年に白木屋社長大村彦次郎が仏堂と庫裡を建立。山岡鉄舟の娘・素心尼が住職につき、以後尼寺となった歴史があります。
こんな四季が豊かな場所で暮らしていると、素敵な歌も詠めそうですよね。
書院に向かって1枚パチリ。こんな感じで、座ってお庭を眺めることができます。贅沢な時間ですねぇ。
私も座って、庭園観賞。太陽光の加減で見え方が違ったり、モミジの舞い落ちる様が儚くも美しい。こんな山荘で、丸一日過ごしてみたいものです。
書院の前で、こんな石を発見!この石の意味、何だかわかりますか?
京都の寺院でよく目にするこの石は、「通行禁止」の意味。「ここから先には入らないでね」という意味なんですね。
景色と調和しながら、やんわりお断りするのが、何とも京都らしくて素敵です♪
苔に落ちる散りモミジ&つくばい
庭園を歩いていると、厭離庵の苔の美しさに気付く瞬間も。
生き生きと輝く緑の苔。そこにモミジと椿の花が舞い落ちて、とってもフォトジェニック!
生命力を感じさせる厭離庵の苔。何だか元気がもらえるようで、じっと見入っちゃいました!
灯篭の横には、つくばいも。苔むした感じが、風情ありますよねぇ。
丸い形も可愛いです。
あ、井戸も発見!かつて定家が筆を洗う水を汲んだといわれ、「柳の井」と呼ぶそう。
時代を超えて、定家が住んでいた当時の様子を想像してみるのも楽しいですね。
儚く情緒ある茶席『時雨亭』
庭園を散策後、書院横に小さな入口があったので入ってみました。
するとそこには、茶席「時雨亭」が。実はこちら、定家の山荘「時雨亭」を再興したもので、大正12年建てられたのだとか。
襖は閉まっていましたが、桂離宮を模して造られているそう。儚く情緒ある佇まいにグッときます。
時雨亭を見逃している方が結構多かったので、是非お見逃しなく!
目印は、こちらのタヌキさん!この子を見つけたら、左に曲がりましょう。
めっちゃ可愛い〜(笑)誰かがモミジを乗せたのかな?
厭離庵は、小さな山荘ながらもホッと一息ついて紅葉を楽しめる癒しスポットでした。
さすがに紅葉シーズンだけあって人もいましたが、混雑という程ではなかったですよ♪
嵐山の隠れ紅葉スポット「厭離庵」。皆さんも嵐山にお越しの際は、是非立ち寄ってみてくださいね!
住所:右京区嵯峨二尊院門前善光寺山町2
アクセス:市バス「嵯峨釈迦堂前」から徒歩10分
拝観料:500円
拝観時間:9:00~16:00(11/1~12/7のみ一般公開、それ以外は要予約)
電話:075-861-2508