1052年、藤原頼通によって建てられた「平等院(びょうどういん)」。幸せを運ぶ鳥「鳳凰」を乗せた鳳凰堂は、平安時代の優美な姿を今に受け継ぎ、極楽浄土の世界へと誘います。
世界遺産にも登録された平等院。鳳凰堂やミュージアムでは、阿弥陀如来像や雲中供養菩薩像をはじめ、数多くの国宝を間近で見ることができます。
今回は、平等院の歴史から見どころまで、参拝前に知っておきたいポイントをご紹介!御朱印やお守り情報もお伝えしていきます♪
- 藤原頼通建立の世界遺産『平等院』の歴史
- 池に浮かぶ宮殿!華やかな極楽浄土『鳳凰堂』
- 国宝ずらり!鳳凰堂内の見どころをご紹介
- 可愛いグッズも♪国宝を間近で楽しむミュージアム『鳳翔館』
- 青もみじに萩、百日紅の花!平等院の四季を歩く
- 鳳凰の御朱印を拝受!お守り&御朱印帳もご紹介
藤原頼通建立の世界遺産『平等院』の歴史
平等院は、JRもしくは京阪「宇治駅」から徒歩10分。
宇治茶の老舗が並ぶ表参道を歩き、あっという間に到着です!
平等院は永承7年(1052)、関白藤原頼通によって父道長の別荘を寺院に改め創建されました。当時は末法思想が広まり、極楽往生を願う浄土信仰が流行した時代。
末法思想とは、釈迦が死んで2000年経つと、仏法が衰え、世が乱れる「末法の時代」が来るという考え。その末法の時代は、平等院創建の1052年から始まるとされ、「このままでは極楽往生できない」と不安にかられた人々は、浄土教に救いを求めます。
創建の翌年1053年には、浄土の宮殿をイメージした「阿弥陀堂(鳳凰堂)」が落雁。阿弥陀如来を安置し、極楽浄土の様子を表現することで、華やかさを極めたと言われています。
入口には、極楽浄土をイメージした平等院らしく「蓮」の鉢が。
実はこちら「平等院蓮」と言って、境内の江戸時代の地層から出土した種を発芽させたもの。おぉ、これはすごい!こんな貴重なものがさりげなく置かれているなんて、さすが世界遺産。
それでは早速、境内にお邪魔しましょう!
池に浮かぶ宮殿!華やかな極楽浄土『鳳凰堂』
境内に入ると、悠々と両手を伸ばした「鳳凰堂(阿弥陀堂)」が目の前に!
まさに池に浮かび上がる宮殿!なんてドラマチックで華やかなんでしょう。
藤原摂関政治の絶頂期に建てられた鳳凰堂。京都の数あるお寺の中でも、ここまで華やかな建物は珍しいかも。池面にゆらゆら映る鳳凰堂を見るのも、これまた楽し。
10円玉でもお馴染み「鳳凰堂」ですが、正面から見ると「鳥が羽を伸ばす姿」に見えること、また屋根に一対の鳳凰を置くことから、その名で呼ばれるようになったそう。
別の角度から「鳳凰」に注目!黄金に輝き、凛々しく羽を広げる姿が格好良い。
横にいた父が「シャチホコみたい」とポツリ。いやいや、まぁ分からなくないけども(笑)
鳳凰は伝説の鳥で、「平和な世にだけ現れる幸せを運ぶ鳥」なんですって!見たら何だか良いことありそうですよね♪ちなみに、この鳳凰は2代目で、初代鳳凰はミュージアムで見ることができますよ。
鳳凰堂の深みのある落ち着いた赤色が、とにかく美しくて。青空の下、何だか吸い込まれそう。
この赤色は「丹土(につち)」といって、2014年平成修理の際、創建時の色に塗り直されたのだとか。
時代を超えて、平安時代の人達と同じ鳳凰堂を見ているなんて感慨深いなぁ。
鳳凰堂をはじめ、阿字池や山々が一体となって「極楽浄土の世界」を表現した浄土式の庭園。爽やかな木々の緑に、柔らかな曲線が美しい。
何だか現世を離れて、あの世に来た気分・・ってそれはあきまへん(笑)まだまだこの世で頑張らねば!
写真だと見づらいのですが、鳳凰堂の正面に立つと、金色に輝く大きな阿弥陀如来様を拝むことができます。
この光景が、何とも幻想的で美しく感動的!極楽浄土を生きている間に見てしまった・・そんな高揚感が体を包みます。
西方に極楽浄土があるとし、東向きに建てられた鳳凰堂。日の出と共に正面の扉が開けられ、朝日が阿弥陀如来様のお顔を照らすそう。
なんて素敵な演出なんでしょう!いつかそのお姿を拝んでみたいものです。
国宝ずらり!鳳凰堂内の見どころをご紹介
続いては、鳳凰堂内の様子をご紹介!阿弥陀如来像をはじめ、沢山の国宝に出会うことができました。
※堂内は撮影禁止のため、一部パンフレットの写真を用いてご紹介します。
鳳凰堂の内部拝観料について
鳳凰堂の内部を拝観するには、下記の通り、別途拝観料が必要です。
鳳凰堂内部拝観料:300円
※ガイドさんが鳳凰堂内部の見どころを解説してくれます。
拝観時間:約15分
開催時間:20分毎(各回20名ずつ)
拝観券購入場所:鳳凰堂横の内部拝観受付
拝観券を買うと、拝観時間が記載されたチケットがもらえます。
時間は窓口で確認できるので、予定に合わせて相談してみてくださいね♪
集合時間5分前になったら、鳳凰堂横にある橋の前に集合!
もし迷っている方がいれば、是非拝観されてみてくださいね。阿弥陀如来像はじめ、74点もの国宝を間近で見ることができますよ!
高さ2.7m!金色に輝く優しいお顔の『阿弥陀如来坐像』
堂内に入ると、約2.7mもの巨大な阿弥陀如来坐像(国宝)が目の前に!
平安時代を代表する仏師定朝(じょうちょう)の作で、現存する唯一の仏像なのだとか。
檜を接ぎ合わせた「寄木造り」の阿弥陀如来坐像。頬や胸元の柔らかな丸みが美しく、お顔を見ているだけで安らぎます。
頭上の天蓋(国宝)も、煌びやかで見惚れてしまいました。
『雲中供養菩薩像』の持つ楽器に注目!
阿弥陀如来を囲むように壁にかけられていたのが、国宝・雲中供養菩薩像(うんちゅうくようぼさつぞう)。
琴や琵琶、太鼓を演奏するものから、優美に舞を踊るものまで。飛雲に乗り、伸びやかに浮かぶ52体の雲中供養菩薩がいらっしゃいました。
この世に別れを告げる人を励まし、極楽へと導いてくれる雲中供養菩薩。作者は、本尊を作った定朝一門。実物を見ると、しなやかに落ちる天衣が美しく、平安時代の技術の高さに驚かされます。
52体のうち26体(鳳凰堂内の半分はレプリカを配置)は、ミュージアム「鳳翔館」に展示されているので、是非間近でその姿をご覧になってみて下さいね。手に持つ楽器やポーズに注目してみると、より一層楽しめますよ♪
平安時代の貴重な扉絵『九品来迎図』
鳳凰堂内の壁や扉には、9通りの来迎を描いた国宝「九品来迎図(くほんらいこうず)」が。私が訪れたのは、ちょうど扉絵の修復が終わり、足場の取れたタイミング。
修復と言うと、綺麗に塗り直すイメージがありますが、今回の修復は「現状維持」。
一度も火災に遭ったことがなく、壁や柱も平安時代のまま現存する鳳凰堂。手を加え過ぎず、当時の姿を受け継ぐ姿勢が素敵ですよね。目を凝らすと、仏様の姿がうっすらと見えて感動しました!
ミュージアムでは、色彩豊かな扉絵「九品来迎図」の復元模写を見ることができますよ。ご参考までに、生前の行いに応じた9通りの来迎パターンを貼っておきます!
来迎に現れる仏様や台座が、上品上生から下品下生まで、9段階で異なるそう。うわぁ、真面目に生きようっと(笑)
鳳凰堂から庭園を眺めると、借景とした山々が雄大な美しい景色が広がっていました!
池を隔てて感じる、あの世とこの世。山の手前には宇治川が流れ、創建時、庶民は川向うから平等院を見ていたそう。
今こうやって、鳳凰堂内部に入れるのは令和だからこそ!皆さんもこの機会に、平安時代の遺構に触れてみてはいかがでしょうか?
可愛いグッズも♪国宝を間近で楽しむミュージアム『鳳翔館』
数多くの国宝が展示されるミュージアム「鳳翔館」がこちら!料金は最初の拝観料に含まれているので、誰でも見学できますよ♪
先程ご紹介した雲中供養菩薩像や、九品来迎図の鮮やかな復元模写は必見です!
さらに見逃せないのが、平安時代に作られた初代「鳳凰(国宝)」。ギロリとした大きな目に、鋭い嘴、扇のように広がる尾が、勇ましく格好良い!
青みがかった金銅製の鳳凰。実はこちら、一万円札に描かれた鳳凰のモデルでもあります。是非近くでご覧になって、その迫力を体感してくださいね!
ミュージアムショップでは、平等院オリジナルの可愛いグッズも沢山販売されていました。
こちらは、鳳凰柄の「がま口¥1100」。さりげない鳳凰さんが可愛い!
人とかぶらないのも良いですよね。
雲中供養菩薩グッズも発見!「ブックマーカー(左)」と、ん・・右のは何だろう?
そう、雲中供養菩薩と言えば、楽器!菩薩様が手に持つ楽器が「ストラップ」になっていました。おぉ、こういうの好きだな(笑)シュールで最高!
ミュージアムを出ると、近くにはカフェ「藤花」がありました。見学後は、お茶でほっと一息つくのも良いですね。
青もみじに萩、百日紅の花!平等院の四季を歩く
四季折々の表情を楽しめる平等院。
私が訪れたのは、9月半ば。夏の名残りで、青もみじがとても綺麗でした!
境内の所々に楓が植わっていたので、紅葉もきっと綺麗なんだろうなぁ。
ミュージアムの前には、ほんのり色づく楓が。あ、平等院蓮も発見!
自然にしか生み出せないグラデーション。これが堪らなく美しい。
百日紅(サルスベリ)の花も咲いていました。
鮮やかなピンク色が、鳳凰堂を一層彩ります。
鳳凰堂の裏では、萩の花が開花中!
小さな紫色の花が可愛いんですよねぇ。
鳳凰堂と言うと、藤の花のイメージですが、夏でも色んなお花が楽しめるんですね!
すぐ近くには、平等院の塔頭「最勝院」が。
隣には源頼政の墓もあり、歴史好きの父のテンションが上がっていました(笑)
平等院にはもう一つ「浄土院」という塔頭もあるので、お時間のある方は覗いてみてくださいね。
こちらは、藤の木。11月下旬になると、紫色の綺麗な花を咲かせ、鳳凰堂との共演が楽しめます。
この日は暑くて、藤からミストが噴射されていました。ベンチはビチャビチャだったけど、涼しくて最高~!
最後に一枚。鳳凰堂の中堂からのびる美しい尾廊。
ここにも、青もみじが。四季の表情が豊かな平等院、歩いていると自然と心も潤いますね。
鳳凰の御朱印を拝受!お守り&御朱印帳もご紹介
お参りの締めくくりに、御朱印もいただきました。
平等院のシンボル「鳳凰」のスタンプが格好良い!
※御朱印は、鳳凰堂の正面を通ってミュージアムに向かう途中にある「集印所」でいただけます。
「御朱印帳¥1500」も素敵な平等院。鳳凰や鳳凰堂が金色で刺繍された御朱印帳は、インパクト抜群!
こちらの御朱印帳は、ミュージアム内のショップで購入できるので、是非チェックしてみてくださいね♪
そして、平等院のお守りがこちら!
ご利益に合わせて、「学業成就御守り」や「昇運御守り」等がありました。自分でお願い事を書く「一願成就 紙御守り」も面白い!
さて、今回は久しぶりに平等院を訪ねましたが、やはり何度来ても感動しますね。
是非皆さんも、「優美で華やかな極楽浄土の世界」に浸ってみてはいかがでしょうか?
住所:京都府宇治市宇治蓮華116
アクセス:京阪「宇治駅」もしくはJR「宇治駅」から徒歩10分
拝観時間:庭園8:30~17:30、鳳凰堂内部拝観9:00~16:10、鳳翔館/集印所9:00~17:00
拝観料:庭園+鳳翔館600円、鳳凰堂内部拝観は別途300円
駐車場:専用駐車場なし。平等院南門前の民営「宇治駐車場」がおすすめです(普通車700円)。